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シュガー・クッキー【ヒロアカ】

第7章  イカれた帽子は兎と歌う


17:50

ピーンポーン


 ジャンケンを終え、雑談しているとチャイムが響いた。

 鍵は寮に住む者と担任しか持っていない。
 そのため他の誰かが訪ねる場合は、必ずチャイムが鳴る使用になっていた。 

 となると、まだ帰って来ていない爆豪では無いという事だ。


 ドア近くに居た耳郎が代表して、訪問者を確かめに行った。
 どうやら知り合いだったのか、楽しそうな声が聞こえると中へと招いていた。


 訪問者はまさに話題になっていたイチだった。
 さきほど別れた時とは違い、ボロボロになった服から八百万が創ったTシャツと、半袖のカーキー色のツナギを着て耳郎の腕にくっつきながら入ってきた。

 イチいわく女子はいい匂いがするから抱きつきたくなるらしい。そんな悪意の無いスキンシップは女子の警戒心を解き、嫌がられる事なく受入れられつつあった。

 そしてそんな無双状態を、超健全高校生男子の峰田は羨望の眼差しで見ている。


 (弟&友達的立ち位置の甘えん坊系美少年……)


 そして峰田は、違った意味でイチの行動を観察し、毎日【女に警戒されない男の振る舞い方】を夜な夜な調べるのが日課になっているのだった。



 峰田が内なる欲を溜め込んでる中、耳郎はお茶子と八百万や葉隠が座っていたソファにイチを通した。 
 お茶子と葉隠の間に座ると寮に興味津々なのか、イチはしばらくキョロキョロしていた。


「イチくん寮来るの初めてやね。そういえばどこに泊まってるん?」

「泊まってないよ、夜は任務で出てるんだ」

「そっか、夜に……って、夜に仕事してるん?」

「うん、他にも仲間が来てるから、夜だけで済んでるんだ。だからこっちはウィルと2人で、日中は訓練に付き合えるんだよ」

「そうだったんだ。イチは働き者だね!」

「……はっ!てゆうか、勝手に話進めとったけどそれだったら、あんまり自主練付き合ってもらうん大変だよね!」


 まさかの真実に罪悪感から皆が落胆すると、不思議そうな顔をしたイチに、切島は申し訳なさそうに説明した。
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