第7章 イカれた帽子は兎と歌う
1日のタイムスケジュールはこうだ。
16:10に授業終了。大体17時から自由時間。
夕食は18:30から(食器は毎朝回収してる)
門限は22:00(安全面重視の全寮制なので、教師の許可がないと出られない)
各棟、点呼は22:15(委員長が点呼して報告)
ただ仮免を控えたヒーロー科1年は、自主練の為ならと、特別に23:30までの個別点呼になっている(自分の持つ生徒カードを押す事)
ヒーロー科は特に厳しいが、他の科も帰省したり外泊する場合は、事前申請が不可欠になっている。(ちゃんと申請しないと生活指導のハウンドドッグ先生から怒られるよ★)
そんな今日。
1−Aの生徒は衝撃の3日目が終わり寮に戻ると、共用スペースのソファに集まりジャンケンをしていた。
事の始まりは【イチに自主練の相手をしてもらう順番】の取り決め(ちなみに爆豪は未だにあの現場から帰って来ていない)
まぁ、アイツは良くね?と言う上鳴の一言で、爆豪抜きで始めていた。
時刻は17:35。
イチは居ないが、複数人で良い者と、個人で手合せしたい者に分かれて決める事になった。
改めて授業のスケジュールを確認をすると、仮免の前日は説明を受けたら午後からは休み。
そして仮免2日前でウィル達との授業は終了なのだが、B組と午前午後に分かれての訓練であった。
後3回。
蛙水も思っていたが、とても短い期間の付き合いなのだ。なのに過ごす時間の濃さからか、最初はどうであれ、不思議とヒーロー科の面々はイチ達に惹かれていた。
ただ、それが何なのかは明確には解らない。
ウィルの存在感と技術なのか、年の近いイチからの刺激と愛嬌の良さなのか。
しかし1つは、授業が楽しい事だろう。
疑問に思う事があるのは確かだが、各々が学ぶ事と出会いを大事にしようと思っていた。
蛙吹はそんな雰囲気を感じ「短い時間でと決めつけるのは愚言」「正直に接しようと思ったから」と言ったウィルの言葉の意味を自分なりに解釈していた。
(惹かれた者同士に【過ごした時間は関係ない】
そういう事かしらね……)
「よぉーし!行くぞ!ジャーンケーン!」
切島の始まりの声と共に、皆は手を高々とあげた。