• テキストサイズ

シュガー・クッキー【ヒロアカ】

第5章  キャンディをどうぞ



「ヒッ…クシッ!……やっぱ響香を見に行こうかな」


 イチが壁から体を離すと、爆豪の怒声が飛んでくる。


「オイコラクソガキまてや!」

「……見つかっちゃた」

「ったりめぇだ!チラチラ見切れてんだよ!出んなら出ろや!」
「勝己怒るんだもん!」
「ッるせぇ!なら消えろ!」


「ホントに口悪いね」
「ならてめぇはクソ生意気だ」


 ひとしきりやりとりすると、柱の後ろに隠れていたイチが、不貞腐れた顔で出てくる。
【共闘コロッセオ(シングルバージョン)目指せ★完・全・制・圧・ブっ壊せ!】で暴れていた爆豪は、足元に転がった機械を足でどけて、自身についた埃をはらった。


「なんの用だよ」怪訝な表情をする爆豪。

「よく言うや、まだ聞く耳?持たないんでしょ?」


 アドバイス受ける気無いくせに。
 そう思いながら、地面に転がる機械を触りながらイチは答えた。
 来なくても良かったけど来てみた、そんな感じだった。


「別に。…んなんじゃねぇよ」

 口籠る爆豪をみるや、開いていた2人距離は一方的に詰められた。
 鼻と鼻が付きそうな勢いで互いの顔が近づく。
 パーソナルエリアにあっさりと侵入したイチの顔に、爆豪は思わず後ろにたじろいだ。




「ごめん!」


「……はっ?」


「ひどい事思った!ごめん!!後でね!」


 それだけいうとイチは後ろに退いて、再び入り口から出て行ってしまった。

 取り残された爆豪は、訳が分からないので小さく舌打ちをしてみた。
 誰かの顔があんなに近いのはあまり経験した事はなかった。
 近くにきた青色の猫目がちな瞳は、綺麗な青色ではなく、暗く深い青色だった。


 「ッんだよ……調子狂うわ」

 爆豪はもう1度小さく舌打ちして、訓練を再開するのだった。

/ 129ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp