第5章 キャンディをどうぞ
「俺と勝負しろ」
あの日から2日目。
今日からあくまでサポートだが、イチも参加する事になったと告げられた。
各自が新しいメニューを与えられると、突然イチの目の前で仁王立ちする爆豪。
無駄に迫力があるのはいつもの事だ。
「なぁ?オレの言ったとおりだったろ。勝己は分かりやすいって」
「だね!」
「いやぁ、すげぇわ。つー訳で、イチ。昼メシお前持ちだからな」
「ちぇ、何かくやしいな〜」
キャッキャと話す2人に、短気な爆豪の怒声が噛みつく。
「オイコラッ、無視して話してんじゃねぇよ!!おまけに勝手に賭けの対象にしやがったうえに、ほんのりディスってんじゃねぇッよクソカスッ!!!!」
口の悪さは治らない。
そんな爆豪にイチは「勝己…怒る子は女の子と仲良くできないって、ナンシー達が言ってたよ」と、告げると、誰だよ!!と、再び怒りを露わにする爆豪をウェンウィルは鎮めた。
「馬鹿にした訳じゃねぇよ。
ただホントに素直な奴だって思っただけだ。
ま、そのギャップがありゃ女にはモテるから自信もてよ」
「あぁ゛ッ?!」
「まぁジョークはこん位にして、何んでイチだ」
「まだてめぇ等が信用できねぇ。……だから信用させてやんだ」
「微妙な答えだが、まぁいい。それはそれは素敵な申し出だしな」
爆豪からの突き刺さる視線を受け、考える仕草をしてイチは答える。
「うーん、ウィルが良いって言えば良いけどさ」
「ちっ、おいおっさん」
「ったく口の悪ぃ奴だ。ま、嫌いじゃねぇけど。
……良いだろ。ただし今日の授業の終わり際、時間は3分な」
「はっ!?んだよ3分って!」
「何言ってだ、3分あればラーメンが食べられる」
「ッ……ぜってー、ブッ潰す!!!」
苦虫を噛み砕いた爆豪はそう言い捨てると、自分の訓練場へと向かった。
「……生徒にはケガさせちゃいけないんじゃないの?」
「訓練の一環、つーことでノーカンだろ」
「わるい先生だ」
「【俺】とじゃ無くて【お前】選んだ。これ位はしてやらねぇと見合わねぇだろ」
「ひいき?ってやつ?」
「ばーか、勝己はこれでいいんだよ」
「ふーん……」