第4章 持ち続けるべきこと
「ッッオラアァァ!!!」
くそっ、治まんねぇ…!!!
肩で激しく息をして爆豪は持ってきた何本目かの水を飲むと頭からかぶった。
何だあいつら
…本当に敵だったら
完全にやられてた…
だが、敵じゃ無かった。
いや、敵ではないらしい。
安心するべきなのか?
いや、そんな事じゃない。
だが、ただ無性に
「腹立つッッ…!!!!」
―――BOMッ!!!!
拳と拳を勢いよく合わせると、爆豪は自身の心を表す爆発を起こした。
腹の虫は収まらないが、相手の実力は本物だと彼も分かっていた。
だが、吊るしたサンドバックを殴り続けてしまう。
そんな爆豪の怒りを受け止め、サンドバッグは跳ね上がり続ける。
もうKOしてます…、サンドバッグに心があるならそう思っている事だろう。
ゴングに気づかないファイターに、レフリーは命からがら飛び込む。
自分も試合の一部になる得も言えぬ快感に恐怖を通り越した瞬間、武者震いは止まらないのだ。
ファイター(爆豪)の闘争心は消えず燃え続ける。
(……ッてやってやろうじゃねぇか!!!!)
―――ッ舐プ野郎がぁああ!!!!」
爆豪が叫ぶのと同時にサンドバッグが跳ねると、遠くの方から切島が呼ぶ声が聞こえてくる。
時間だぞと、いつもの立て髪じゃ無い切島を見たら、急に熱い風呂に入りたくなってきた。