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シュガー・クッキー【ヒロアカ】

第3章  狩るもの狩られるもの



 ――― 同刻


「イチくん!」


 訓練の見学をしてたイチが、突然できた氷柱を見つめていると、お茶子と上鳴が2階通路に浮いてきた。
 【無重力】縦移動には最適な個性だ。
 そんなお茶子はボクサーが使う様なサウナスーツに身を包み、イチが「怖い」と呟くと、優しく手をとった。















「……あー冷てえなぁ、夏なのに寒いぜ、ったく」


 3分程して、何故かイチを連れたお茶子と上鳴が緑谷達と合流した。
 自分達の後方に2人と共に座るように緑谷が指示すると、氷に捕らわれた【獣】が口をきく。


「【コレ】は何事かな?」


 初めて顔を合わせた時の優しい口調だった。
 舌打ちと共に黙っていた爆豪が険しい顔で話す。


「うるせぇ、気色悪い真似やめろ。



 てめぇ等なに者だ」


 男の綺麗な緑の目が細まると、3人は交互に続けて話はじめた。


「あの……手荒な真似してスミマセン。
 …でも【コレ】が最善の策だと思って実行しました」


「最善の策、というと?」


「戦闘を行わずに【貴方】の動きを封じ【彼】を拘束し真実を明らかにする事」


「それは何の為に?」


「明白ではない違和感の為です」


「………」


「多目的室でお会いした時、その場に居た何人かは同じ事を言いました、敵に遭遇した時を思い出したと」


「だが特に気になるのが【イチ】と名乗るそいつ」


 後ろに目をやり轟が話す。


「歩く音が【静か過ぎる】
 最初は気づかなかったが意識して聞くとほとんど音がしない。
 個性かもしれないが、何時もやる必要は無い。これはB組含め全員で確認した」


「そして何よりさっきのテメェみてぇに、このガキには【気配】がねぇ。
【わざと】ぶつかってきた時はわざわざ受け身を止め、似つかわしくない筋肉と真新しい生傷。
チョロチョロ動き周りコソコソと校内を探る仕草。
ついでに【親子】を演じるきめえ胡散臭さ」


「B組と協力して【彼】を見張ってました。貴方たち【誰】ですか……」


 【獣】は冷え切って始終出てくる鼻を啜りながら、3人が言い終えるのを黙って聞き終えると、唯一動く顔で辺りを見渡し始めた。

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