第3章 狩るもの狩られるもの
激しい音がこだますると、異変を感じた他の生徒の声が室内の至るところで聞こえ始めた。
事の中心にいた3人は静かに間合いをとりながら対峙していた。先程まで感じていた悪寒や視線はない。
しかし本能で感じとった。
((危険な【獣】))
目の前に立ちはだかる悪意は敵意をむけたと思ったら直ぐに消えた。いや隠れているだけだ。
敵、か否か……
「情報少ない相手との力量を見極めて安易に攻撃せず間合いを取る。いい判断だ、やっぱお前ら根っからの実践派だな。
だけどよ、
突っ込んでくんのは懸命な判断じゃないぜ。
出久」
最速でその場に到着した緑谷は男の背後から現れると、自身が使っていた硬球を力の限り【獣】の足元に投げつけた。
地面は崩れ、瓦礫と砂煙が宙に舞う。
男が跳ね返る瓦礫をガードすると同時に轟の氷が地を這い、パキパキと音をたて足から肩まで氷が男の体を覆いこんだ。
【獣を捕らえた】
肩で激しく上下させ体に酸素を取り込みながら、これ以上合う言葉はないと緑谷は確信した。