第2章 Chapter2【上司と私と】
毛利さんの朝ご飯とお昼ご飯を用意しても充分すぎるほど早めに起きてしまった私。
もう少し寝たい気持ちはあるけれど、今寝てしまうと今度は仕事に遅刻してしまいそうになるだろう。
なので、今日は普段よりも少し早めに会社へ向かった。
睡眠時間が足りないせいか、少しだけ頭が痛い……まあ、明日と明後日はお休みだし何とかなるよね。
「おはようございま……って、誰もいないか」
とても静かなオフィスをぐるりと見渡す。
流石にこんな時間じゃまだ誰も…………と思っていたけれど、私以外にも早めに出勤した人物が居たようです。
その証拠にまだ入れたばかりなのか湯気の立った温かそうなマグカップが、私のデスクの向かい側に置かれている。
私の向かいのデスクといえば上司の席だ。
ということは、つまりーーーーーー
「ーー苗字か、随分と早いではないか」
ふいに後ろから声をかけられ、私はゆっくりと振り返る。
……あぁ、やっぱりそうだった。
「おはようございます、『石田』さん」
鋭く尖っているように見えるが実はサラサラな銀色の髪の毛に、
仕事を生半可な気持ちでやる社員を視線だけで殺せそうなほど鋭い目。
そう、こんな朝早くから出勤していたのは……
私の上司、石田さんだった。