第2章 Chapter2【上司と私と】
ーーーー朝、何か物音がして思わずハッと目を覚ました私。
時刻は4時過ぎ。たった2時間弱しか寝ていない上に、何だか昨日は変な夢を見たような気がする。
そう、全身緑の変わった服を着た人に殺されかける夢を………………
「…………………………」
「おお……日輪よ………………!!」
夢 オ チ じ ゃ な か っ た ! ?
というか、待ってください。
どうして毛利さんは窓から差す日の光を両手を広げながらめいいっぱい浴びて、これでもかというほど喜びに満ちた声を出しているんですか。
全身緑の服のせいで、ちょっと光合成に見え……なんて口に出したら確実に殺されるだろう。
落ち着いて、私。
「も、毛利……さん……何をしてるんですか……?」
「……む…………見ればわかるであろう、我は日輪を拝んでいる」
「日輪……?太陽のことですか?」
私の声に手を下ろし、くるりと振り返ってこちらを見る毛利さんと目が合い、未だに状況が掴めない私に毛利さんは「無論」と頷く。
ただ浴びるだけじゃなく拝むって……なんか、こう……宗教的なものかな…………?
「……まさか、この世界でも日輪を拝めるとはな……」
そう言って、毛利さんは再び太陽……いや、日輪の光を浴びようと私に背を向け両手を広げた。
……今のうちにご飯を作ろうかな。
寝る前に慌ててセットしたご飯も炊き上がってるみたいだし、毛利さんの朝とお昼のご飯用におにぎりをこれでもかと握る。
昨日の今日のため、おかずって言えるものが焼き鮭とインスタント味噌汁くらいしかないけど…………
うん、これも仕事が終わったら買いに行かないとね。
食材に服に日用品……私、こんなに持てるかな…………ちょっと不安だけど、やるって決めたからには頑張らなきゃ。