第6章 Chapter6【遊園地へ行きましょう】
ーーカチャリ、カチャリ。
「……………………」
「……………………」
ーーカチャリ、カチャリ。
「……あ、あの、元就さん?」
「だ、旦那、あのさ……」
「「……………………」」
朝食の時間。
いつもなら幸村さんがそれはもう輝かしいほどの笑みを浮かべながら「美味で御座る!!」と感想を述べたり、それに対し元就さんが「悪くない」と頷くのが日常化しつつあったのだが…………
「…………駄目だね、名前ちゃん」
カチャリ、カチャリと食器が金属と擦れる音だけが響く食卓。
その食卓で無表情とご飯を食べ進める幸村さんと元就さんを交互に見て、佐助さんが困ったようにため息をつく。
そう、「今朝の一件」で二人は喧嘩のようなものをしてしまったのだ。
「…………幸村さん、ごめんなさい。私が困っていたから声をーー」
「名前、貴様は我の駒ぞ。光栄に思うべき場面で何故困る必要がある」
「……え?いや、あの……」
このままではいけないと思い、幸村さんに謝ろうとする私。
……しかし、ようやく口を開いた元就さんによって話を遮られてしまった。
「その目で然と見よ、毛利殿。やはり名前殿は困っているではないか」
「ほう、貴様は名前が困っているように見えると?……ならばその不要な両の目を、我が抉り出してやろうぞ」
「ちょっと旦那達ってば!!落ち着いて!!?」
先程まで静かだった二人が段々ヒートアップしていく姿を見ていられず、佐助さんが慌てて止めに入る。
「……………………」
……うーん…………気まずい。
物凄く、気まずい。
せっかく一緒に住んでいるのだから、どうにかしてこの気まずさを打開して……今まで通りの少し賑やかな食事をしたいのだけれど……
そう思い、何か良い案がないかと考える私。
するとーーーー
「………………あっ……」
ひとつだけ、あった。
この状況を少しだけ、良い方向に持っていくことが可能な物が。
「……あ、あの……皆さん……!!」
「ん?名前ちゃん?」
「名前殿?」
「…………」
「これから、遊園地に行きませんか!!?」