第4章 Chapter4【賑やかさと食費が割増】
「……申し訳ございませぬ……」
「か、顔を上げてください、私は大丈夫ですから……」
あの後、叫び続ける男性を迷彩服の男性が止めてくれたことにより叫び声は収まったのだが……
今度は私たちの顔を見るなりその場で土下座をしてしまったため、対応にとても困っています。
……うん…………私は一応大丈夫です……私「は」、ですが……
「ほら、旦那。顔を上げて大丈夫だって」
「う、うむ……」
ご近所さんになんて謝ろうかと考えていると、迷彩服の男性が顔を上げるよう促してくれました。
……勢い良く頭を下げていたせいか、彼の額がほんのり赤いのは見なかったことにする。
「して、話は佐助から聞いたが……某達は、何故此方に……?」
「それが毛利の旦那もサッパリなんだってさ。しかも、数日前からここに来てるって言われたんだけど」
「なっ!?毛利殿は昨夜、大谷殿と同盟を結んだのではなかったのか!!?」
「……大谷との同盟、だと?」
困惑する赤い男性と迷彩服の男性に、不満そうな表情で眉を寄せる毛利さん。
一方の私はこの会話には入らない方が良いような気がしたため、「お茶を持ってきますね」と立ち上がってキッチンへと移動をした。
こういう時って部外者がいると話しにくいだろうし……何より、私自身が彼らの話をイマイチ理解出来ていないのだ。
なので私がすべき最善の行動は、話の合間に口に入れられるお茶や美味しいお菓子を用意することだろう。
「それは我がこの世界に来る前の夜に決まった話ぞ、要らぬ嘘を吐くでないわ」
「う、嘘ではござらぬ!!」
「旦那の言ってることは本当だよ、もう真田十勇士全員総出で大変だったんだから」
「ほう?あの時の鼠は貴様が仕向けたものか」
麦茶とロールケーキを用意しながら何気なく聞いていたが、どうやら双方の間で話がすれ違っているようだ。
こちらに来る前に同盟?を結んだはずの毛利さんと、昨日結んだはずの毛利さんの謎。
こういう時、漫画やゲームの話から考えると…………
こっちの世界にいる間は向こうの世界の時間が止まっている、とか?