第4章 Chapter4【賑やかさと食費が割増】
「ーーーーつまり、ここは俺様達の居た日ノ本と別の日ノ本ってわけ?」
あれから数分。
「信じられない……」と呟く迷彩服の男性に、毛利さんはコクリと小さく頷いた。
「我も初めは命乞いの類かと思ったが、どうやらそうではないらしい。忍であれば何か感じるのではないか?」
「……そりゃあ、まあ…………忍の気配や血の臭いはしないし、周りの置物は南蛮の物って一括りに出来ないくらい奇妙な物ばかりだけど……」
そう言って迷彩服の男性はテレビやソファーなどを次々と指差す。
それにつられ、何気なく部屋全体を見渡せば床に赤い何かが倒れているのが見えた。
……あれは……人、だよね…………?
「っていうか、毛利の旦那……なんかここに慣れ過ぎてない?特にその着物とかさ」
「フン……我は数日前にこちらに来ておる故、当然であろう」
「はぁっ!!?毛利の旦那、それ本気で言ってんの!?」
「我は本気ぞ。この駒に聞いてみるがいい」
「……え、あっ……はい」
床に倒れた赤い人らしき何かを見ていると急に話を振られたため、慌てて頷く私。
すると、迷彩服の男性は酷く困ったように頭を抱えこんでしまった。
何かあったのかな……?
「じゃあ、昨夜の毛利の旦那は一体誰なのさ……?」
「何の話ぞ、我はーー」
毛利さんが何かを言おうとした、その時。
床に倒れていた赤い人らしき何かが、ピクリと動き出し…………
「っ、ぅうおおおおおお!!!!!!!!!!」
「!?」
「それ」は、突然起こった。
赤い男性は飛び起きるや否や、鼓膜が破れてしまいそうになるほどの大きな声で叫び出したのだ。
……み、耳が痛い……!!!!
「うおおおおお!!某としたことがっ!!!!あのような、はっ、はは破廉恥な場面を見てしまっただけで倒れてしまうとは!!何たる不覚!!!!!!お叱りくだされお館様ぁあああああ!!!!」
どうやら男性はまだまだ叫び足りなかったらしい。
あたふたと左右に移動しながら、早口で必死に何かを叫んでいる。
……あまりの大声量っぷりに耐えきれなくなった私は耳を塞いでいるため、内容がちっとも聴き取れないのだが……
そんな私にでもわかることが、一つだけあった。
ど う 考 え て も
近 所 迷 惑 で す よ ね ! ?