第4章 Chapter4【賑やかさと食費が割増】
一度目は毛利さんに、二度目はこの迷彩服の男性に。
何故私は二度も人生で凶器を突きつけられ、死ぬかもしれない状態に陥っているのだろうか。
「説明?」
「ここはどこで、何の術を使って、どのような目的で、俺様達をここへ運んだのか。……口は動かせるんだから、簡単でしょ?」
「ね?」なんて可愛らしく首を傾けて男性は笑みを一層深めるが、どう見ても目は笑っていないし相変わらずクナイらしきものは私に向けられている。
正直に吐かなければ殺す、とでも言わんばかりの勢いだ。
ただ、私自身も何が何だか分かっていない。
まさか毛利さん以外にも私の家に人がやってくるなんて……それに、聞き間違いでなければ「俺様達」と言った。
つまり、姿は見えないがこの男性以外にもこちらの世界に来てしまった人物がいるのだろう。
「……その……私自身もよく分かりません。何故、あなたも毛利さんも、私の家に飛ばされてきたのか……」
「飛ばされてきた?おたく等が何か変な術を使ったからじゃないの?」
男性の言葉に「違います」と言って首を横に振れば、自身が望んでいない回答だったのか男性は眉を寄せてこちらを睨んだ。
「ふーん」
「…………嘘は、ついていませんから」
「だろうね。ちょっとでも嘘をついてたらーー」
ヒュッ、と風を切る音が聞こえれば
私の首に触れるか触れないかの距離に移動した、クナイらしきものを持つ手。
そしてどこまでも冷たい男性の目が、私のことを鋭く射抜いた。
「どこかの姫さんだろうが、アンタのこと殺してたし」
「!!」
ピリッと空気が張り詰めるのを肌で感じる。
……これが、殺気……?
恐怖のあまり震えそうになるのを何とか堪える私に、男性は不意にまた人当たりの良さそうな笑みを浮かべて「ところでさ」と呟く。
「いつまで寝たフリをしてるわけ?毛利の旦那」
「えっ!!?」
「……フン、昨夜こやつのせいで酷い目にあわされた故、罰を与えたまでよ」
いつの間に起きていたのだろうか。
毛利さんはスっと体を起こし、涼しい顔で私達を見つめた。
って、ちょっと待ってください。
酷い目にあったってことは、酔ってる間に何かしちゃったんですか!?
混乱する私を気にも留めず、毛利さんは自分達の「現状」を迷彩服の男性に語り出した。