第3章 Chapter3【お酒は飲んでも飲まれるな】
「…………あれ……ここは、外……?」
いつの間にか寝てしまっていた私が重い瞼を開ければ、そこはいつもの見慣れた庭。
……あぁ、私……毛利さんとの月見酒の後、酔いつぶれて壁にもたれ掛かりながら寝ちゃったんだ…………
「まさか、外で寝るこ………ん……?」
『まさか外で寝ることになるなんて』と言いながら立ち上がろうとした私は、膝の辺りがやけに重いことに気付き首を傾げる。
ずっと外で寝ていたから足が痺れたのかなー、なんて思いながら視線を下に向けると……
「………………」
「………っ…………も、毛利さん……!?」
私の膝の上に乗っていたのは、一緒にお酒を飲んでいたはずの毛利さんの頭。
その勢いで慌ててバッと横を見れば毛利さんが縁側で横になり、私の膝を枕代わりにして寝ていることが分かった。
「……待って、一体どうなってるの……?」
昨日の夜の出来事を思い出してみよう。
まず、毛利さんと一緒にお酒を飲んで……
毛利さんが自分の部屋からの方が綺麗に月が見えるって教えてくれて……
た、たしか、毛利さんが悩んでいたのは国がどうのこうのって……
それから…………それから……………………
何 も 思 い 出 せ な い ! ?
「毛利さ……」
「あ、やっと目が覚めた?」
「……………………え?」
膝で眠る毛利さんを起こそうと手を伸ばした瞬間。
その手は彼に届くことはなく、背後から伸びた手によって阻止されてしまう。
「お楽しみ中のところ悪いんだけど、そこに寝てるのって毛利の旦那だよね?この状況説明してくれない?」
抵抗出来ないようにするためかぐいっと上に持ち上げられ、主導権は完全に相手に握られてしまった。
……って、この人……もしかして毛利さんのことを知ってる…………?
そう思いながら恐る恐る上を見上げれば、独特な迷彩柄の服を着た男性が人当たりの良さそうな笑みを浮かべて私を見つめていた。
ーー私の手を掴む反対の手に、クナイらしきものを構えた状態で。
あの……毛利さん、お願いですから早く起きてください……!!