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とうらぶ 短編たち

第4章 藤 小狐丸


「大きいけれど小狐丸。
いや、冗談ではなく。
まして、偽物でもありません。
私が小!大きいけれど!」

目の前の大きな男は初対面の私にそう言った。
大きな男と言うか、刀剣男士。

小狐丸はちらほらと人数が増え始めた
私の本丸にやってきた刀剣男士だ。
体の大きさと最初の言葉で
私は少々苦手意識を持ってしまった。

別に、嫌っている訳では無いのだけれど。
なんと言うか…
掴みどころが無さ過ぎる。
小狐丸よりももっと早くにこの本丸に来た
三日月宗近の方がまだ掴みやすい印象だった。
まあ、長らく一緒に過ごしている内に
分かってきた事もあるし、
小狐丸に関しても
それなりの距離感でやっていこうと考えていたんだ。

最初はね。

その私のプランを壊してくれたのだ。
小狐丸が。

そもそもこの本丸に来た初日。
彼の歓迎会をして、その宴がお開きになって、
ゆっくりと風呂に浸かって
さあ寝よう
と思って部屋に戻ったら小狐丸が居た。
風呂上がりでほかほかしている状態で。

「な、何か…?」

思わずどもったけど、私は悪くない。と思う。

「ぬしさまに毛並みを整えて頂きたく」
彼は櫛を私の方に差し出すと
ひょいっと背中を向けた。
要は髪を梳かせという事らしい。

小狐丸の性格を掴み切れていない状況で、
どのようにしたもんか、と思いつつ
まあ、言われた通りに髪を梳かしてあげたのだけれど。

それ以降、
毎晩毎晩彼は風呂から上がると私の部屋に来るようになった。
「ぬしさまに毛並みを整えて頂きたく」
と。
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