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とうらぶ 短編たち

第10章 苧環 大倶利伽羅


後日、
出陣した大倶利伽羅の働きっぷりは凄いものだったらしい。
そう私に教えてくれたのは部隊長を任せていた燭台切さんで、
全ての戦で誉の働きをした大倶利伽羅に何かご褒美をあげて欲しいと頼まれた。

もちろん、そんな凄い働きをしてくれたんだから
ご褒美をあげるのは大賛成。
この前の掃除の事もあるし、
なにかお礼としてプレゼントしたい。
でも、彼の好みが分からない…。
燭台切さんに相談すると
「主があげるものなら何でも喜ぶと思うよ」
なんて余計に困るお返事が返ってきてしまった。

散々私は悩んで、
形に残らない物にしよう
と決めた。
消費できる物の方が、気楽に渡せるし、
大倶利伽羅としても邪魔にならないから良いかなって。

そして、厨組の二人にも相談に乗ってもらって
手軽に作れるという事でクッキーを作る事に。
料理は特別得意じゃないけど、
お菓子作りは分量さえ間違えなければ大失敗しないだろう
という安易な考え。

練習と称して作った大量のクッキーは
短刀ちゃんたちや他の男士たちに配る事にして、
大倶利伽羅へ渡す分はしっかりと別に作った。
後は、渡すだけ。

内番を終えて部屋に居る大倶利伽羅を訪ねる。
「ちょっといいかな?」
ソワソワしながら声をかけると
スッと障子が開いて大倶利伽羅が顔を出した。
「あのね、コレ。
この前の出陣でとっても活躍してくれたって事と
掃除、代わりにやってもらっちゃったから…」
そこそこキレイにラッピングできた箱を渡すと
大倶利伽羅は受け取ってくれた。
「口に合うと良いんだけど、」
大倶利伽羅は何も言わずに部屋の中へ戻ってしまったけれど
廊下には桜の花びらが。

後になって燭台切さんが教えてくれたんだけど、
私がクッキーを渡した後、
大倶利伽羅の部屋を訪ねた燭台切さんは
部屋中に散らばる桜の花びらを見たらしい。
「伽羅ちゃん、今度はもっと活躍するんじゃないかな」
って燭台切さんは笑ってた。


『断固として勝つ』
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