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とうらぶ 短編たち

第10章 苧環 大倶利伽羅


本丸に植えられている数本の桜の木。
ちょっと前に咲いたと思ったら、あっという間に満開になって、
ついにはらはらと散り始めた。
その散ってる花びらもすっごくキレイなんだけど、
花びらが舞い落ちて木の根元とか周辺に散ってる。
ピンクの絨毯も素敵だけど、
雨が降ってドロドロになっちゃうのはいただけない。
そこで、竹ぼうきと塵取りを持って掃除する事にした。

審神者のお仕事だってちゃんとやってるけどね。
時々体を動かさないと、運動不足になりそうだから
男士の誰かに頼むのはやめて、自分で掃除する事に。
木は数本しかないけど
花びらは沢山散ってて、わりと手間のかかる作業。
でも、単純作業が好きな私としては
鼻歌歌っちゃうくらい楽しい。

ルンルンしながら花びらかき集めてたら
突然、強い風が吹いて…
集めた花びらがまた散ってしまった。
その様子を瞬きも忘れて見てたら
「痛っ」
目の中にゴミが。
高かったテンションも急降下。
と言うか、痛い。とても、痛い。
涙が止まらなくてグスグスしてたら
「何をしている」
声をかけられた。

「あの、掃除を、」
グスグスしながら返事をしていたら、
グイっと顔を上に向けられて
涙でぼやける景色の先に居たのは大倶利伽羅。
鋭い視線で見つめられたかと思うと
涙が溢れる左目に口づけられた。
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