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とうらぶ 短編たち

第9章 馬酔木 陸奥守吉行


「此処から此処までなんぼの距離がある?」
「この湖は日本とぶっちゅうくらい大きい…!」

陸奥守の目がキラキラ輝いてる。
その視線の先には世界地図と地図帳があって、
世界地図の気になったところを指さしては
私に色々と質問をする。
次にその国の事をもっと知るために地図帳のページをめくって
熱心に眺めてみたりして。


「メリケンはこがーに大きいんか」
世界地図を開いて、陸奥守が私に最初に聞いたのは
アメリカの場所だった。
指さして教えてあげると、
日本との大きさの差に大層驚いて
地図帳のページをパラパラと忙しくめくって
アメリカについての詳しい情報を読んでいた。

万屋へ買い物に行った際に見つけた世界地図と地図帳。
ふと陸奥守の顔が浮かんで私が勝手に買ってみたものだった。
外国について、興味があるらしい陸奥守。
一応日頃の感謝を込めてと言う事での
唐突なプレゼント。

陸奥守は私の想像以上に2つのプレゼントを喜んでくれた。
目がキラキラしてて、
付喪神様に言うのはどうかと思うけど、少年みたい。

「主、わしはまっこと嬉しい!」
普段の笑顔とは違う、
喜びを噛みしめるような笑顔でお礼を言われて
「陸奥守が喜んでくれてよかった」
私も本当にそう思った。

陸奥守にプレゼントした2つは
私の部屋の本棚に置かれる事となった。
部屋へ持ち帰ってくれて構わない、と言ったのだけれど
「主と見るんが楽しい」
陸奥守のキラキラな目に見つめられてそう言われてしまって
嬉しくないわけがない。

それから、時間があると陸奥守は私の部屋へやって来て
熱心に世界地図と地図帳を眺めるようになった。
そんな時は私も側に居て、
陸奥守と色々と会話をする。
私は地理が得意な方じゃないから、
地図帳を見ながら陸奥守と一緒に勉強してる気分。
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