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とうらぶ 短編たち

第5章 一初 長曽祢虎徹


グラスの中を見つめて動かなくなった私に
「花子?もう休んだ方が良いんじゃないか?」
長曽祢さんは心配そうに声をかけてくれる。

「今夜は貴方に全てを捧げます」

「え?」
「いえ、シェリーのカクテル言葉です。
花言葉みたいに、お酒にも言葉があって、

男性の前で女性がシェリーを頼む時は
脈アリって事です」

グラスに残ったシェリーを全て飲むと
体が一気に熱くなった気がした。

「花子、
その酒瓶を俺に預けてくれないか?」
「え?」
長曽祢さんの唐突な提案に訳が分からないでいると、
「他の奴等の前でソレを飲まれちゃ困る」
なんとも真剣な目で私を見ていた。

「本気にしなくても良いんですよ?」
「本気にするさ、
男だからな」

長曽祢さんの瞳の揺れが無くなっている。

「俺も酔ったらしい。
今晩は此処で寝かせてもらう」

いとも簡単に私を抱き上げると
私の部屋に入っていく。

すでに敷いてあった布団の上に優しく下ろされて
「火をつけたのは花子だからな」
強い瞳に射抜かれた。


『火の用心』
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