第5章 一初 長曽祢虎徹
しばらくの間、口づけは続いて
満足したのか
彼が唇を離す様を見ていれば
「見ていたのか」
苦笑いしていた。
ちょっとだけ、長曽祢さんの瞳が揺れてる。
「変わった味の酒だな」
「シェリーです」
「しぇりぃ…」
「外国のお酒で、私のお気に入りなんです」
グラスを長曽祢さんに渡してみると
そうっと彼は口を付けた。
そうして、少々不思議そうな顔をして
またグラスを私に返すのだった。
「日本酒の方が良いですか?」
生憎、私の手持ちに日本酒は無いけど。
「いや、構わない。
慣れない酒で酔いが回るのが速そうだ」
少し困った様に笑う長曽祢さんを横目にまたひと口。
そう言えば、カクテル言葉なるものがあったな。
シェリーにも割り当てられた言葉があった。
確か…