第15章 毒には蜂のひと刺し【蜂楽廻】
蜂楽と昼飯をちゃんと食べるようになってから1ヶ月が経ち蜂楽に対する警戒心みたいなものが溶けてきた
放課後の空き教室でいつものように道具を広げてキャンバスに向き合う
「ねぇねぇ!杉谷俺さ強化選手に選ばれたんだ!!」
蜂楽は勢いよく教室の扉を開けて日本フットボール協会からの封筒をアタシに見せる
「…おお、すげーじゃん」
「えっ、反応薄い。杉谷に伝えたくて走ってきたのに」
「ああいや、凄すぎて逆に冷静になった」
蜂楽は家の用事で1日学校を休んでいた
つまりアタシに報告する為だけに放課後にわざわざ来たのだ
「いつから行くの?」
封筒から中身を取りだして用紙を開く
集合場所と等は書いてあったが期間だけは記されてなかった
「…頑張ってね蜂楽ならいい選手になれるよ」
「うん!ありがとう杉谷」
嬉しそうに笑って蜂楽はまた走って帰って行った
(強化選手なんてかなり凄いことなんだよな。なんか素直に喜べない)
窓の外の夕日がなんだか悲しく感じてカーテンを閉めた
(ああそうか。寂しいんだ。蜂楽と食べるご飯とか一方的な会話とか全部楽しかったんだ……)
「よし、」
さっきまで描いていたキャンバスを下ろし、新しいキャンバスをイーゼルに立てかける
(想像は出来てる。何度もみたから。)
筆をキャンバスにのせる
久しぶりの書き心地に苦戦しながら描き込む
(なんだ、やっぱり楽しい)
2週間後
アタシは何度か描き直しながらも納得のいく絵が完成したので昼休み蜂楽が美術室に来るのを待っていた