第15章 毒には蜂のひと刺し【蜂楽廻】
「杉谷〜ご飯食べよ〜」
「うん、けどその前にいい?」
「ん?なになに?珍しいね」
キャンバスにかけてあった布を蜂楽の目の前でとる
「…えっ」
キャンバスに描かれた絵を見て蜂楽は驚いた顔をした
すぐあとアタシをギューッと力強く抱きしめた
「苦しい」
「だって!これ俺でしょ?人は描かないって言ってたのに」
キャンバスには優しい色を意識して描いた蜂楽の笑顔
「蜂楽」
名前を呼ぶと蜂楽は小さく笑いながらアタシと目を合わせる
「ありがとう。蜂楽のおかげで楽しかったよ、サッカー頑張って」
「うん!俺の方こそありがとう、これ持って帰ってもいいんだよね??」
「こんなので良ければ…」
「こんなのじゃないよ!俺絶対すげー選手になって帰ってくるから待っててくれる?」
ジィっと真剣な目がアタシを射るようにみつめてくる
「…うん待ってる」
「その時はお嫁さんになってくれる?」
「交際をすっ飛ばして?!」
なんだかいい雰囲気になってきたと思った矢先の発言に声が大きくなってしまう
「ふはっっそっかあそうだよね、じゃあ付き合おう」
「ええ、告白されたの初めてだけど多分こんなヌルッとしてないんだろうな他の人は」
「俺も告白したの初めてだからよく分かんないけど、他と一緒じゃなくて良くない?」
「まあそれもそうか」
そもそも他人に馴染めなかった2人だ
今更周りと同じじゃなくていい
「取り敢えず手繋いで帰ろう!家来てよ優も会いたがってたし」
「優って?」
「お母さん!」
「お母さんのこと名前呼びしてるの?」
「たまにね」
初めて握った蜂楽の手は暖かくてちょっとごつくて男の子手だった
「蜂楽選手結婚だってね」
「高校から付き合ってるって勝ち目ないよねぇ」
「あ、そうえばFunBeeの個展やるらしいよ」
「マジ?行きたいんだけど。てかなんでFunBeeなんだろうねHoneyじゃないんだって感じせん?」
「Funって楽しいって意味だよね」
「楽しい蜂?」
「えっ蜂楽ってこと……?」
「「…………まさかね」」
後日開かれた個展に蜂楽選手が居たとネットで騒ぎになるのは…もう少しあと
END✩.*˚