第5章 綺麗な音【我妻善逸】
「...善逸」
“どこに居ても聞き取れるよ”
あの時の善逸の声がリピートされる。
(こんな大勢がいる中で届くわけもないのに馬鹿だな)
自嘲してもう一度探すために歩き出そうとすると左手を掴まれ振り返る
「よか..った。名前呼んでくれて」
「ぜん、、いつ。。」
その時のあたしの顔はどんな顔をしてたんだろう。
善逸は驚いた顔をして“移動しようか”と優しく笑った
「うん」
善逸はあたしの手を引いて施設内にあるコラボドリンクを売っている店まで連れてきてくれた
「ここで待ってて」
あたしは善逸が帰ってくるまでお店から少し離れたベンチに座った
帰ってきた善逸はミルクティーとサイダーを抱えていた
「どっちがいい?」
「ミルクティーでいくらだった?」
「いーよそれくらい、、、」
「.........少し長くなるけど話聞いてくれる?」
「うん」
善逸はあたしが口を開くのを待って頷いた
「あたし、最初からこんな感じじゃなかったんだ。うるさいぐらいでさ、でも小3の時いじめられてる子をみつけて“そーゆうの良くないよ”って言ったら標的があたしに変わって皆から無視されるようになった。まるで誰にもあたしの声が聞こえないみたいで、あたしは世界に居ないんじゃないかって思えるくらいで、苦しかった。。それからは極力喋らなくなってなるべく誰とも関わらないようにした。
でも善逸があたしに初めて喋りかけてきた時、なんだこいつって思った反面嬉しかった..んだと思う。
あたしの声を聞いてくれる人がいるって、、多分だけど、その時から善逸の事が好き」
あたしは顔を見せたくないし善逸の顔も見れないので真っ直ぐ前を見ながら、善逸が飲み物を買いに行った時に考えていた文を音読するかのように話す
「ごめんね、善逸は禰豆子ちゃんが好きなのにね。今日楽しかったまた学校でな」
何も喋らない善逸の答えは“ごめん”だと思い話を切り上げ立ち上がろうとすると左手を強く引っ張られ気づけば善逸の腕の中にいた