第16章 恋に落ちる音【瀬呂範太】
「そんな顔するなよ。別にやめとけって言いたいわけじゃねぇんだ
ただ、何か言われるのはお前だから。知っといた方が変に勘繰らなくて済むかと思ってよ」
泡瀬は心配して言ってくれているのだろう
俺は話を聞くことにした
「分かってる。で?」
「杉谷は7月初め頃に転校してきたらしい。クラス外からも美人だって噂を聞きつけたヤツらが集まってきたぐらい1週間位は騒がしかったみたいだ。
んで、杉谷はその週には吹奏楽部に入部、試しで吹かせてみると先生は直ぐにソロパートを杉谷に変えたらしい。
杉谷にパート奪われた子も同級生で相当上手かったらしいけど、さらっとポジション取られちまって反感買って孤立状態。囃し立ててた周りも空気読んで関わらないように距離置いてるって感じだな」
「そっか、、俺知っちゃってよかったんかな」
「いいに決まってんだろ。まあ俺は応援してっからじゃあな」
泡瀬はバシッと俺の背中を叩くとさっさと降りていってしまった
(次会った時どんな顔すりゃいいのよ。知らないフリしとくか?いやいやイジメみたいなもんなのにほっとくとか無理だろ)
俺はろくな作戦も建てられないまま試合当日になった
「来てんのか?」
「おーう。」
「いいとこ見せなきゃだな頼むぞ大落ち」
「分かってる」
邪念を振り払い精神を統一する
いよいよ試合が始まる
(今日はいつもより落ち着いてる。皆の音がよく聞こえる。)
泡瀬の矢が的を射る
(これは当たる)
自分が引いた矢が的の中心を捉え得点板が〇に変わる
「お疲れ様でした。優勝おめでとう!凄くカッコよかった」
杉谷はスポーツドリンクの差し入れを俺に渡しながら笑ってくれる
「あんがと、、ごめんな呼び出して」
「ううん、感想伝えたかったし!…何かあった?」
「……杉谷には悪いんだけど杉谷が学校でどんな扱い受けてんのか聞いちまった。ごめん。」
「…そっか。話してなくてごめんね、、」
杉谷の目線が下がり俯いた事で表情が全く読めない
「ちょっと座らない?」
俺は杉谷に言われるがまま隣に座った