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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第5章 Eye of the Silver Wolf




「・・・ガキのくせにナマイキなこと言ってんじゃねぇ」


どんな巨人を相手にしても、恐怖を感じることも、圧倒することも無い。
そんなことがあったのは、過去に1度だけ。

エルヴィンに圧倒し、屈服させられた時だけだ。
あれは人生の汚点とも言うべき、最悪な気分だった。
まぁ、そのおかげで今の自分があるとも言えるが。

でも今は・・・?

もしこの女を前に、エルヴィンの時と同じように圧倒してしまったら・・・

今度は、今の自分を壊されてしまうかもしれない。



「・・・帰るぞ」


自分でも理解することができない感情に飲み込まれる前に。
このままだと取り返しがつかなくなるような気がするから・・・

「はい」

「・・・・・・・・・」


サクラ。

お前が俺の世界を知るには、まだ早い。
もっと明るい世界だけを見ていろ。


リヴァイは部下の“墓”を一瞥すると、サクラに背を向ける。
やはりその姿は、雪山でサクラに撫でられることを拒んだ狼を思い起こさせた。

強くて、気高い。
だけども・・・


「本当に優しい人・・・」


サクラは微笑み、外套を翻しながら歩く兵士長の後を追う。


そして、月が兵士の墓を静かに照らしていた。




第5章 『 The Eye of Silver Wolf 』 Fin.



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