第2章 AKAITO登場
「もうすぐ出来上がりなので大丈夫だよ」と私は答えた。
彼から気が抜けるような声が聞こえる。「そっか」なんだかショックそうだ。
ツンデレの彼にとってはこのデレデレ行為を無駄にした事が心痛いのだろうか。
「味見する?」私は皿に少しだけスープを乗せて彼に差し出した。彼は少し元気を取り戻した。
「ふん、仕方ないな」と嬉しそうに私から皿を受け取り、飲んだ。
少し顔をしかめていた。「おいしくない」と彼が言う。私は驚いて反対側から飲んだ。
きちんとスープとしては成り立っている。私に味覚がないのだろうかと疑問が浮かぶ。
「足りないよ」と真面目な顔で言ってくる。そう言われれば普通すぎて、飲んで楽しめるようなものはなく、昔ながらのネギスープ!みたいな味だ。でも私が飲むわけだから別にそこまでこだわらなくてもいいと思った。
「こんなもんで大丈夫だよ」と私が答えると「全然大丈夫じゃないよ!」と彼が怒る。
私はKAITOがこんなにもグルメだったのかと驚いてしまった。彼が私の手を取って言う。
「全然甘くない!もっと砂糖入れなきゃダメでしょ!」
その言葉にきょとんとしてしまう。
スープに・・・砂糖??
そういえば彼はアイス以外何も食べていないのだ。見事な甘党だったのだ。
「KAITO・・・スープというのはこういう味なんだよ」と私が言う。
彼がきょとんとする。「甘くないよ?」とまるで甘いのが当たり前なように言う。
「スープは甘くないんだよ」というと、困った顔をして悩んでいた。
急に後ろを誰かにドンと押される。私は驚いてしまった。だって今KAITOは私の目の前にいて、他に誰もこの家にはいないのだから。私は急いで振り向いた。