第4章 夏前の冷たい風
そのままギュッと抱きしめられた。
「今までごめんね、淋しかったでしょう。辛かったでしょう」
帯人が耳元でそう言っている。二人に比べて声が小さくて細い。
その割には少し力が強くて若干痛い。
「淋しくはないよ?KAITOもAKAITOも今はいるし」
若干痛い状態が長引いて徐々に凄く痛く感じて息が辛い。
「俺以外はもう見なくていいんだよ、マスター」
このままだと意識が飛びそうだった。もしかして私は今、締め殺されているのだろうか。
「お前、誰だよ」
KAITOがやってきたようだ。
同じKAITO達なのに何故かKAITOの時だけ少しだけ元気になる。
「俺のアルファから離れろよ!」
KAITOが叫んで帯人を私から引き離す。
俺のって・・・いつから私はKAITOのものになったのだろうか。
また顔が熱くなる。
帯人がKAITOを睨み付けている。俺のとか言うから・・・KAITOがもしかしたら殺されてしまうかもしれない。
「マスターの事、名前呼びする。許せない・・・」
気にする方名前の方ですか?!私は心の中で叫んだ。
「俺でさえ、呼んだことないのに・・・殺す」
ゆらっとKAITOの方に体を動かしていく。このままだと本当にKAITOが殺されてしまう。
KAITOが殺されたらどうなってしまうのだろう。亜種の人たちも消えてしまうのだろうか。
また、一人になってしまうのだろうか・・・
「駄目―!!」