第5章 ネコとの邂逅
「もう一回!!!」
えぇぇ!!?
「うぬっ!?なんなんだ!目茶苦茶動いてるだろ!?体力底な無しか!」
ほぼ、底無しかな。
「また音駒とやりたいなら公式戦だ。
全国の舞台、沢山の観客の前で、数多の感情渦巻く中で、ピカッピカキラッキラのでっかい体育館で、
"ゴミ捨て場の決戦"、最高の勝負やろうや」
化け猫先生は日向くんを乗せる言葉をよくわかってるなぁ。
集合して、講評を聞いて、
「さて、逃げるなよ」
……化け猫先生。
このままドサクサに紛れられないかなと思ったんだけれど。
「聞かせてもらおうか、チビ嬢ちゃん」
連れてこられたのは体育館から少し離れた場所。
「驚いたぞ。
"あの時"から音信不通だったお前に会うとは思わなかった。バレー部のマネージャー、やってたんだな」
そう、3年ぶりの邂逅だった。
「……"あの時"は、バレーにはもう関わらないって思ってたんですけど、やっぱり私は、バレーないとダメみたいです」
バレーなんか、私の大切なものを奪ったバレーなんか、例えそれが、バレーのせいじゃなくて、私のせいだったとしても。バレーなんて二度とやらない。
って思ってて、そうする筈だったのに。
「……」
あの"快感"を知ってしまったから、
「結局、1年も離れられなかったです。
もう、プレーは出来ないのに」
未練がましく縋り付いてる。
「………烏養のじじいから少しは聞いてる。気にするな、とは言わないし言えねえ。これまでも年に数回しか会ってなかった俺が口出すことでもねぇ。
けど、1つ言っておく。
どんな関わり方をしていても、バレーに関わっていなくても、烏養のじじいに連絡くらいしろよ。お前の"師匠"だろ、会いに行け。
俺は、あいつの愚痴に付き合って、年不相応なメル友なんぞ、なる気はねえよ。
そんで、今日のデータを見せろ」
そっか……そっか。
烏養先生、こんな弟子でも、もう弟子ですらないけれど、会いに行ってみようか。
「………ありがとうございます。
化け猫先生がメル友になるのは阻止しますね。
これデータです。背番号でしか書いてませんけど」
いつも通りのノートを渡す。
「家帰ってパソコンで詳しい分析して送ります」
「ふん、根こそぎデータ取られたな。参考にさせてもらう」
そういう約束だったんで。
さてと、
「それでは、失礼します」
「おう」