第5章 ネコとの邂逅
5月6日、8時50分。
烏野総合運動公園の球技場が練習試合の会場だ。
「集合!!!」
んーと
187㎝、176㎝、165㎝、176㎝、178㎝、185㎝、169㎝
ってとこか。
……猫目多くない?音駒だから??
「あっ!!?」
日向くん、目立ってる。
研磨さん、目、逸らしてる。気まずそう。
黒尾さんは何でニヤニヤしてるの。
「!?はぅあっ」
モヒカンさんは、潔子先輩みて走り去っていったし、
「今日は宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします」
全開営業スマイルかつ胡散臭い笑顔の黒尾さんと、にこにこにこにこにこしながら妙な威圧感を出す澤村先輩。
「でー、この子、ウチのマネージャーに貸してくれません?」
!!?
「黒尾さん!?」
静かにメンチを斬り合っていた黒尾さんが、いきなり私の肩に腕を掛けて、とんでもないことを言い始めた。
「ウチ、マネージャーいないんで。練習試合の時だけでも!どうですか?」
どうですか?って言われましても。
助けを求めて辺りに視線をやれば、やたらとアセアセした武田先生が走ってきた。
「すみません、七瀬さん。向こうの監督からもお願いされてまして!」
すごくペコペコしてるけど、はぁ?
「私、烏野のマネなんですが」
「いいじゃないか。ウチのデータ取り放題だぞ?」
出た。
「やっぱりあなたの策略ですか、化け猫先生」
「おい、七瀬!??」
コーチはびっくりしてるけど問題ない。
だって、
「化け猫化け猫って、お前ら師弟は人のこと何だと思ってるんだか。
ま、久しぶりだな」
いやー、猫耳つけたら似合うと思いますよ。尻尾は二又に分かれてるだろうけど。
「相変わらずお元気そうで。
……わかりましたよ。そっちの策略に乗ります。潔子先輩、一人にしちゃってごめんなさい」
「本当にいいの?羽奏ちゃん、帰ってくるよね?」
「私は烏野のマネなので。ちゃんとデータ取って帰ってきますよ」
「んじゃ行こっか、"マネージャー"」
黒尾さん、腕乗せたまま歩くの?
重いんですが。
「今日限定マネージャーだ!はい、自己紹介」
「どうも、烏野のマネの1年、七瀬羽奏です。宜しくお願いします」
「「「よろしくお願いしまーす!!」」」
一方、烏野では。
「羽奏ちゃん、取られた…。絶対勝ってね」
潔子先輩、激おこだった。