第5章 ネコとの邂逅
「名前は知っていると思いますが、七瀬羽奏です。ツンツン頭さんのお名前は?」
「どーも、ツンツン頭の黒尾鉄朗でっす」
やっぱり、笑顔が胡散臭い。
「くろー、てつろー?」
苦労人なのか?
それと、伸ばし棒が多い。
「違え!
く、ろ、お、て、つ、ろ、う。色の黒に尻尾の尾、金属の鉄に朗らかの朗!!」
「あぁ、黒尾、鉄朗さん。黒猫さんですね」
ジャージは真っ赤なのに。
「黒猫さんなぁ。まぁ、ネコだけどよ」
んー、学校名知ってるからそうでもないけど、知らない人が聞いたら只の厨二発言。
とか話してるうちに、
「「あ」」
道端に座り込んでいる日向くんとプリン頭の研磨さん。
そっちも知り合いになってたのか。
「研磨!」
「日向くん!」
ひらり、と手を振れば、ぱっと気まずそうな顔になった日向くん。
…もしかして、迷子だったの忘れてた?
「じゃあーーまたね、翔陽」
「…"またね"…?」
日向くんは不思議そう。
まぁそうか、リュック背負ってたから背中見えなかっただろうし、ズボンにも学校名書いてあるけど、縦だしローマ字だし、真っ赤なジャージが音駒と結びつく訳ないか。
どうせ2日後にはわかるでしょ。
「日向くん、帰るよ」
「うおっ、ごめん帰る!てか、探しに来てくれたんだ」
「うんまぁ、澤村先輩に言われたし」
「そっか、ありがと!!」
そう言って日向くん は、ドビューン!と走っていった。
って、
「帰り道分からないでしょ!」
「あーー!!道案内、お願いしゃス!」
了解。
はぁ、学校の自転車借りてきてよかった。
それから。
練習してご飯食べて寝て、スタメンが決まって、練習してお風呂入って寝て、練習してユニフォームが配られた。
「日向の好きな"小さな巨人"が居た頃が、過去、烏野が一番強かった時期だが、その頃、烏野は一度も音駒に勝ってない。最後にやった時も負けてるハズだ。
負けっぱなしで終わってる。汚名返上してくれ」
「「「!あス!!!」」」
明日は、音駒と練習試合だ。