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舞う羽は月に躍る《ハイキュー‼︎》

第3章 出会いの化学変化



さて、彼女のプレースタイルに惚れた俺が次することは、話しかけることだ。
俺は学校でも有名な方だったから名前を知られていたんだけれど、困ったことに俺は"天使"さんを知らなかった。
どう読むのか分からなくて、迷った挙句初めてかけた言葉は
「てんしちゃん」
正しい読み方を聞いて、すっごく恥ずかしかったのを覚えている。

"てんしちゃん"改め天使さんは、読み方を間違えた俺をフォローしてくれた。性格も天使だった。


天使さんを羽奏ちゃんと呼ぶようになってから暫く。
俺たちは、市民体育館で会えば、お互いバレーを教えあう仲になっていた。
驚くべきことに、羽奏ちゃんは全日本女子バレーの選手だった。
とは言っても、候補に入ったのがのが小学5年の終わり。丸々一年練習に費やして、中1に上がったと同時にレギュラーメンバー入りしたという。
当たり前だが史上最年少で、次の世界大会でスタメン入りが決まったのだとか。
ポジションは予想通りセッター。

羽奏ちゃんはパワーの無さが課題のようで、特にサーブの威力を上げたいそうだ。俺のジャンプサーブは、自分の筋力に頼っているところがあるけれど、教科書通りのフォームより力を伝えやすいフォームなんかを教えていた。
あのコントロールあれば十分な気はするけど。

俺は、セッターとしては最高峰レベルと言える羽奏ちゃんの技術を盗めるだけ盗んでいた。
羽奏ちゃんとパス練していると分かるのだが、まずはドンピシャなタイミング、位置に来るトス。そこで、変なクセとかが付いていると、態とトスをゆっくりにしたり、位置を変えたりして修正。
上手くいってる、気持ちよく打ててる、とテンションが上がり始めると、少し速いスピード、少し高い位置のトス。
自分の最高到達点なんかが引っ張られていく。
それに楽に合わせられるようになると、自由に打て、と言わんばかりの真っ直ぐにアンテナまで伸びる、選択肢を最大限に広げたトス。

正直、ただパス練しているだけなのに自分の能力がじわじわと上がっていくのがわかる。

ごく偶に岩ちゃんも交えて練習すれば、岩ちゃんの苦手だったコースの打ち分けだって綺麗に出来るようになってた。

すごく楽しかった。
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