第3章 出会いの化学変化
週が明けて今日は火曜日。
青葉城西との練習試合の日だ。
「………ここまで日向くんが緊張するとは思わなかったなー」
思わぬハプニング(田中先輩ご愁傷様)で止まったバスの中でボヤけば、隣に座る蛍がニヤッと笑った。
あ、嫌な予感。
「えー、カナがそれ言う?スタメン紹介のとき、コートに入る段階でコケたのは誰でしたっけ?」
つっ!人の黒歴史を楽しそーに話すのね!
「いやっ、舞台の規模が違うでしょ!世界大会の準々決勝が初試合の中学1年生と、たった1試合の練習試合の高校1年生を比べないでよ!てか、吐いてはないし」
ムカつくくらいに楽しそうな蛍の頭を叩いて(座ってるおかげで手が届く)、バスが再発車。
今度は無事に青葉城西高校まで到着!
ふらふら歩いていれば、元、北川第一中のエース、金田一くんのお喋りを発見。
意気揚々と田中先輩が乱入。
「烏野を…あんまナメてっと…喰い散らかすぞ」
田中先輩のスキル『煽り』発動!
それにしても、烏、タイミングいいな。
「そんな威嚇しちゃダメですよ〜田中さ〜ん」
ぱっと見、気の抜けた顔をして手をパタパタさせる蛍。
でも、私は知ってる。
これは、煽る前哨戦だ。
「ほらぁ、『エリートの方々』がびっくりしちゃって可哀想じゃないですかぁ」
ほらね。
ほんと、楽しそうなんだから。
試合が近づくにつれて、どんどんカチンコチンになっていく日向くんがかなり心配になるが、試合開始!
と意気込んで見たが、第1セット。
13-24
「あ………」
最悪なタイミングで訪れた日向くんのサーブは、影山くんの後頭部に見事に激突して、
13-25
第1セットは青葉城西だ。
影山くんの無表情も怖いし、流石にヒヤヒヤしたが、田中先輩の名言
「ネットの"こっちっ側"にいる全員、もれなく"味方"なんだよ!!」
もあって日向くん復活。
第2セットの初っ端は影山くんのトスミスで空振ったが、2回目、速攻成功!
この速攻、奇襲力は絶大だし、第2セットは問題ないだろう。
と、いうことで
「潔子先輩、ドリンク作ってきます」
「私も行こうか?」
「大丈夫ですよ。場所分かりますし、すぐ戻りますね」
と、言ったんだけどなー。
「久しぶり〜。連絡くれないから、及川さん寂しかったよ〜」
何故、このタイミングで会うのだろう?