第4章 体育祭
「お疲れ様、菜月。」
「ありがとう。」
擦りむいた膝を洗っているとき、麻里が駆けつけてきてくれた。
「膝、大丈夫?」
「大丈夫。大したことないから。」
「そっか…それなら良かった。はい、絆創膏。凄かったね、吉田君。」
「ありがとう。」(春樹の走り、あんまり見れなかったけど…。)
「私…もっと走りの練習しないと…またみんなに言われちゃう…。」
「麻里のせいじゃないよ。それに、春樹が挽回してくれたし、何より楽しかったから!」
「!…うん!」
そしてラストは借り者競争。
「頑張ろうね、菜月。」
「うん!」(お、お題…良いのが当たりますように…!)
「それでは、よーい、スタート!」
皆が走り出す。私は麻里の次に走る。この競技は全員が出るのではなく、決まった人だけ。翔真と春樹は出ない。
「!…」(麻里の番。なんだったんだろう、お題。)
担任の先生を連れて行った麻里。そして、いよいよ私の番になった。
「…これ!」
『好きな人(異性で)』
「ちょっと待ってください…。」
おかしいってば。
だが、この際仕方がない。本人にお題を見せなければいいだけの話。
「…いた!春樹!!」
「!…俺?」
「早く!」
「…」
春樹はグラウンドに出てきた。
「お前相変わらず足遅いのな。」
「うるさい。」
審判の先生にお題の紙を見せた。すると先生はニヤニヤしながらOKサインを出してくれた。
「ありがとう春樹、助かった。」
「お題、なんだったんだよ。」
「…な、内緒。」
「は?教えろよ。」
「やだ!絶対やだ!」