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不良君のおきにいり

第4章 体育祭


「…はい、交換。」

「はいよ。じゃ、頑張ってこいよ。」

「春樹も、アンカー頑張ってね。ちゃんとバトン渡すから。」

「おう。」


春樹のハチマキを巻き直し、リレーが始まった。


「!…」


私達1組は出だしが良く、見事1位で走っている。そしてそのまま麻里まで渡ったバトン。


「頑張れ!麻里!!」

「速く走れよデブ!」

「追いつかれちゃうだろうが!!」

「…」(いじめの人達…。)


しかし、麻里が翔真にバトンを渡すとき、もう3位にまで順位は落ちてしまっていた。


「!?…」


翔真は思った以上に足が速かった。


「だっ…大丈夫…大丈夫…!」(春樹が…いるから…大丈夫…。)

「菜月!」

「!…」


翔真からバトンを受け取った。2位の人と同じくらいのタイミングでバトンを受け取った。


「はぁ…はぁ…はぁ…!」


走っているときの顔を誰かに見られるのが凄く嫌だった。


「っ…。」(もう少し…もう少し…!)


春樹の姿が見えた。その時だった。


「っ…!?」


転んでしまった。差は開いていく。


「やばっ!」

「マジかよ!」

「菜月!走れ!!」

「あと少し!!」

「っ…。」


私は出せるだけの力を振り絞り、春樹にバトンを渡した。


「春樹!」

「おつかれさん。」

「!…」


歓声があがっている中、1番よく聞こえた春樹の声。唖然としていると、リレーが終わった。


「1位は、1組~!!」

「!…」


あんなに差があったのに、春樹はそれをなんとも思わず、見事1位でゴールテープをきったのだ。
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