第4章 体育祭
時は流れ、体育祭当日になった。当日は本当に委員会の仕事で大忙し。
「絆創膏貰ってもいいですか?」
「あ、はい。どうぞ。」
救護だから、少しは休めるだろう。と思ったけど、思った以上に怪我をしてくる人が多い。
「さあ、次は1年生のリレーです!!」
1番緊張している競技が始まった。足が遅い私は、リレーが1番嫌いだ。
そして、アンカーにバトンを渡す私。なんでこのリレーの順番になったのかは不明。しかもアンカーは春樹なのだ。確かにクラスで1番足が速いのは春樹。
驚くことに、アンカーが春樹、その前が私、私の前が翔真、翔真の前が麻里。というなんとも偶然とは思えないリレーの順番なのだ。
「が、頑張ろうね!わ、私…足遅い…けど…。しょ、翔真君に渡しちゃえばなんとかなるよね!」
「うん!わ、私も、春樹に渡せば…なんとかなる…ただ…渡すまでの間に抜かされたりしたら…。」
「うぁぁ…お、お腹痛くなってきちゃった…。」
「は、春樹…ど…どうしよ…。」
「…さぁ?」
「鬼!!」
春樹はクラスで1番足が速い。そして学年でも1番足が速いのだ。
「っ…緊張してきた…。」
「…中学の頃にやってたやつ、やってみるか?」
「…?」
春樹は頭に巻いていた赤いハチマキを取った。
「ほら。」
「…!」
*
中学2年生の運動会の時、私はリレーのトップランナーをやることになってしまい、もの凄く緊張をしていた。
「大丈夫だって。最初がミスっても、あとから誰かがなんとかするだろ。」
「春樹にはわからないよ…。」
「なんか楽しいことでも考えてろよ。そしたら知らないうちに終わってんだろ?」
「…そんなこと言っても…。」
「…ほら、俺のハチマキ…やる。」
「……なんで?」
「ひ、1人じゃ…こ、心細いと…思って……俺の付けてれば……1人じゃないように思えんだろ…?」
「!…ありがとう!」
「お、お前のもよこせよ…!」
「うん、交換!」
*