第5章 モデル案
「あれ、メモ帳落とした」
「えー、光大丈夫?どういうの?」
「いや、後で自分で探すから良いよ」
「そっか…」
教室でみのりちゃんと内田くんが話す
これは内田くんのだったのか
しかし私の名前が入っているのは何でだろう
彼とはまだ少ししか話したことはない
けれどなんとなく予想は付いた
クラスを見ていれば分かる
このメモ帳には1-5の女生徒の名前も書かれている
そして書かれている名前の人物達は
皆内田くんをよく見ている
つまり、
彼は落とした相手と告白してきた相手を
管理していたのだ
趣味の悪い奴だ
奴はやっぱり裏があった
しかし今までは真っ直ぐな人をモチーフとして書いてきた
今度は恋愛
挑戦したことのないもの
少しぐらいクセのある奴が主人公の方が面白い
「モデルはアイツだな」
内田の名前を丸で囲った
皆帰り、クラスにいる人は私とアイツ
「花宮さん、中庭で俺と会ったでしょ?
そこでメモ帳見なかった?」
「メモ帳?これのことか?」
「そうそれ!ありがとう_」
私の手からメモ帳をとろうとした手を払う
「随分と面白い趣味を持っているなぁ」
「は?なんのこと?」
「それがお前の本性か。面白い」
「花宮はなにを目当てにしてるんだ?」
「私は、内田くんに協力して貰いたいことがある」
「じゃあ協力してやるから返せ」
内田くんに向けてメモ帳を投げる
そして私はその彼の前に紙を見せる
「は?なんだよこれ」
「お前のメモ帳をコピーした。
逃げるなよ、内田くん」
「先輩?1年生の下駄箱で何をしてるんですか?」
下駄箱に行くと琴鞠先輩がいた
「僕、君と話してみたいと思ったんだぁ」
「私と?」
「そう君。お名前とクラスは?」
「花宮栞です。1-5です」
そうか、私は琴鞠先輩に名前を教えていなかった
だからこうやって私が来るのを待っていたんだ
「僕の名前は昨日言ったよね。
えっと、クラスは3-1」
折角だから一緒に帰ろうと言われて先輩と並んで歩く
夕日がとても綺麗
オレンジ色だけでなく少し夜の紺色が混じっている
儚く、美しい