第2章 私の従兄
「 音駒って、バレーが強いんだよ〜? あ、ちなみに私はバレー部のマネージャーしてるんだ〜。」
「 へぇ〜、そうなんだ…。」
「 水原さんは、なんの部活に入るの? 」
そう聞かれて、言葉に詰まった。部活、かぁ…。パクリとサンドイッチを口いっぱいに頬張る。黙々と咀嚼し続けても、答えは全く出てこない。口元についたケチャップを、ペロリと舐めるとしょっぱい気がした。
「 んー、まだ考え中? 」
ズッーと音を立ててパックの牛乳を啜る。
「 ねぇ…、もし何処も決まらなかったらさぁ。うちのバレー部のマネージャーやらない? 」
「 …うーん。」
その時、ガタリと椅子を引く音がした。隣を見ると、赤葦くんが座っていた。白福さんは、ねぇと声をかける。
「 赤葦くんも、新しいマネージャー欲しくない? 」
「 後継者としてならいいんじゃない?」
私をちらりとも見ずに、そう呟くように返事をする。そっと、その言葉を聞かなかったようにして席を立ち上がる。白福さんが驚いたように私を見上げた。
「 何処行くの? 」
「 自販機。牛乳切らしちゃった。」
おばあちゃんが入れてくれた牛乳。無くなると寂しい気分になるの。そう言うと、白福さんはよしよしと頭を撫でてくれた。その時、ガラリと勢いよく教室のドアが引かれた。教室の視線が一気にドアに集中する。
「 光太郎ちゃん…? 」
「 (名前)ー。」
おいでおいでと言うように、私を手招きする。クラスの視線が一気に私に集まって居心地が悪すぎる。小走りしていくと、何故か後ろに赤葦くんも付いてきた。
「 赤葦、悪いな。今回はお前はお呼びじゃないんだ。」
その言葉に、目を丸くした赤葦くん。何でそんな顔をするの? はてなマークが頭を埋め尽くす。赤葦くんはバレー部なのはさっき知ったけど私についてきたのはなんで?
「 光太郎ちゃんは、赤葦くんと仲良いの? 」
「 あー、基本的によく一緒にいるから反射的についてきたんだろう。 」
その時、ふとした考えが頭をよぎる。
「 迷惑かけてないよね? テンションの上げ下げとかで!! 」
「 なっ、それはないっ!! 」
図星を突かれたような表情がおかしくて、声を上げて笑った。