第2章 私の従兄
男バレのマネージャーは、たしかにキツイ。スポドリ作りやら、選手のケアや資料まとめまでありとあらゆる仕事を求められる。きっと、赤葦くんはそういうことを懸念して私にそう言ってくれたんだと思いたい。
悔しさを噛みしめるようにシャーペンを握りなおした。バレーを知っている者として、あの言い方は嫌だったから。もし、私がマネージャーとして入ったら、赤葦くんは私自身をマネージャーとして受け入れてくれるのだろうか。音駒では上手くいったけど、梟谷では上手くいかないかもしれない。
悶々と考えているうちに、お腹が痛くなった。大丈夫大丈夫と、お腹に暗示をかけた。チャイムが鳴ったときには、お腹の痛みはなかった。
「 あっ、仮入部届だ。」
「 貰ったの。」
「 じゃあ確定だね〜。」
白服さんっ、確定だなんて言わないで!! 恐る恐る、隣の席に座る赤葦くんをチラリと観ると、彼はがっつり私の仮入部届けを見ていた。
「 い、いやまだ決まってないし!! 」
「 えー、でも入ってくれたら人の手が増えて嬉しいし。せっかく友達になれたんだしさぁ。」
入ろう入ろうと肩を揺さぶられた。
「 で、でも急に入ったらみんなびっくりするんじゃ、」
「 あぁ、木兎先輩がこの頃はむちゃくちゃ機嫌がよかったから、何かあるんだろうなぁってみんな予想してるよ。」
光太郎ちゃーーん!! 心の中で大声で叫んだ。今も昔も態度に出るの変わらないんだね…。机に伏せて脱力をする。
「 赤葦くんも、気づいてたでしょ? 」
「 まぁ…、木兎さんのあの様子を見ればね。で、どうするの? 入るの、入らないの? 」
赤葦くん、お願いだから表情を崩してよ。無機質に近いその目は、私の入部したい願いをねじ伏せるような強い圧力を感じた。