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スキは兇暴な感情【ハイキュー!! 】

第2章 私の従兄






今までとは違う校舎や顔ぶれと人ごみに酔いながらも、職員室へ行くと先生が待ち構えていた。優しい顔つきで安心する。


「 えっーと、担任の相澤だ。よろしくお願いします。」

「 よろしくお願いします。」


頭を下げ、用意された椅子に座った。



「 これは一通りの教科書な。前に渡した教科書は、時間割に合わせて少しずつ持ってくればいい。…それと何か困ったら、また相談してくれ。俺じゃなくても、保健室の先生でもいいからな。」


労わるような、同情するような目つきに、若干飽き飽きしながらも頷いた。目線を下に向けた。担任の先生だ。私が梟谷学園に転校してきた理由を知らないはずじゃない。

唇を何度か噛み締め、顔を上に上げる。口角が上がっていることを意識しながら。



「 はい、ありがとうございます。」

「 よしっ、じゃあ教室に行こう。」


相澤先生は安心したように笑った。教室は2年6組。合図がしたら入ってきて、自己紹介。何て自己紹介しよう、新しい場所で上手く馴染めるか。

ドキドキしながら教室に入る。自分の上履きの音が、やけに響く。練習した笑顔を作り、お腹に力を入れる。小さくお辞儀をした。



「 水原杏菜です。今日から一年よろしくお願いします。」


パチパチと拍手が送られる。



「 水原さんの席は赤葦の隣だ。」


赤葦…、珍しい名字だと思いながら、先生の指差した方向を見る。窓際の席でラッキーだった。赤葦と呼ばれた男の子とは、きっと男女という性別で、あまり話す機会もないだろう。

私が座ったのを確認すると、HRが終わった。お決まりのように、ワラワラと私の周りに女子が集まってくる。



「 ねぇねぇ、何処から来たの? 」

「 音駒高校。」


矢継ぎ早な質問が続く。その中で一際のんびりとした声が印象に残る。


「 木兎先輩が言ってた後輩って、水原さん〜? 」

「 え…? 」


セミロングくらいの、前髪を中央で分けた女の子。ニッコリと笑いながら、私の前の席に座る。



「 白福雪絵っていうの、よろしくね〜。」

「 うん、よろしくね。」


その時は、気づいてなかった。獲物を狙うように、私を観察していた赤葦京治くんの視線を。






















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