第2章 夢からさめて
サラが最初に目に入ったのは、常夜灯設定まで光量を絞られた部屋の灯りだった。
「……っげほっ」
声を出そうとした途端に、喉に痛みが走り咳き込む。
同室にある机で、真剣な顔をしながらなんらかの作業をしていた男がそれに気付き、椅子ごと振り向いて声をかけた。
「起きたみてーだな。おはよーさん、んでもってはじめまして」
「……っっ」
「おいおい、そんなに怖がりなさんな。俺ぁなにもお前を傷つけたい訳じゃねーんだよ」
まあ、確かに顔つきは怖いかもしんねぇけどさ。
苦笑しつつこちらに近寄り、ベッドサイドの椅子に座る彼__グリード。
サラは、全神経をグリードに集中させて彼の一挙一動を見逃さんとしていた。
__とそこに、ベッドサイドの電話が鳴り響く。
グリードはすぐに受話器をとると、応対を始めた。
「…どうした、ドルチェット?…おう……ふぅん、わかった今行く。ちょっとまってろ」
そういうと電話を切り、グリードがサラの頭に向け手をのばす。
__殴られる!
サラがぐっと身をすくめ目を閉じたとたん、彼女の頭に柔らかく温かい、大きなものがそっとのせられた。
恐る恐る目を開けると。