第3章 はじめて逢った、やさしいひと。
「…ん」
何かを催促するように、尋希は戻ってきたグリードにむけ両手をのばす。
疑問符を大量発生させるまま彼が尋希の手をとると、脳内に直接声が入り込んできた。
『…助けてくれてありがとう、お兄さん』
「うぉおあ!?」
声に驚きながらも、グリードは手をしっかりと握り離さない。
予想以上の反応の大きさにくすくすと笑いながら、尋希は続ける。
『そんなに驚くことでも…(笑)』
「…いや、あんまり急なんでちょっとびっくりしすぎた」
『すみません。…私は尋希…苗字は中濃です。まぁ、ヒロとでも呼んでください』
「尋希…ねぇ。いい名前してるじゃねーか。…俺はグリード、強欲のホムンクルスだ」
宜しくな!と、さも楽しそうににかっと笑うグリード。