第1章 ほんのすこし、過去をおもいだした。
『ば、化け物!うちの子に近付くな!』
…待って、私はなにもしないよ?化け物だなんて言わないで。
__つい昨日まで遊んでいた子供たちは、父親に怒られたのか一切近付いてこなくなった。
『来ないで!あんたなんかに関わってたら、うちまで一緒にされちゃうわ!』
…なんで?私はなにもしてないんだってば。
__お父さんが生きている頃は沢山のお菓子をくれた駄菓子屋さんのおばあちゃんは、お父さんの葬式以降なんにもくれなくなった。
『最近の穀物の不作と街の水不足は、全部お前の呪いのせいだ!』
『あいつを殺して皮を売ろう!狐の衣は高く売れるぞ!』
『狐の心臓は長寿の薬にもなるそうだ!』
『あいつを殺せ!殺せ!』
………いやだ、やめて。
……いたいよ、撃たないで。
私だって、銀狐としてのお仕事はちゃんとやってる。
毎日、お母さんに教わった通りにお祈りしてるのに。
……どうして、私だけなの…?