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【テニプリ】Merry-Go-Round【短編集】

第1章 【仁王】ジョーカーのせいにして


届きそうで届かないその背中に何度手を伸ばしただろうか。ガラにもなく必死になって丸井にあれこれ相談して悩んでいる自分がいる。丸井には「らしくねーの」って笑われた。自分でも自分が滑稽で笑ってる。それでも構わないと思ったからだ。

「お友達いないんですかー仁王くーん」
「……ハッ、それはお前も同じじゃろ。お友達いないんですかー酒々井さーん」
「わっ、仁王に酒々井さんって呼ばれると鳥肌立つわ……」
「ブッ飛ばすぞ」

なんでこの女なんだろうか。いつも何かと縁があってだる絡みしているコイツ。いつの間にかコイツの隣に立つのが当たり前になっていた。そう思ってるのはお互い様だと思っていた。

「丸井それチョ~ダイ」
「は? やだよ」
「真田くんに言いつけよ」
「それは勘弁!!」
「おっしゃ、真田くんサマサマ」

丸井と仲良さげに話している酒々井の姿を見て、途端に自分が遠くに置き去りにされたような気持ちになった。すぐそばにいるような感覚になってたのは自分だけだったのかと。調子が狂ってしかたがない。

「……らしくないのう」
「全くその通りですね。仁王くん。反省したまえ」

柳生に説教までされる始末だ。真田に雷落とされる前にヒュルルと冷徹な眼差しに見下ろされる。大体君は……とお決まりの文句が始まった。テキトーにそれとなく聞き流していると俺の隣にひらひらとハンカチを敷いて紳士的に座りだした。何事かと思ったが、自らの膝をポンポンと叩いて、「さぁ、いらっしゃい!!」と笑顔を浮かべ出した。

「……え」
「お疲れなのでしょう。膝枕、空いてますよ!!」
「疲れてるのは柳生お前じゃろが。キモッ」
「おや、違ったのですね。ならお話を聞きましょう。酒々井さんのことといったところでしょうか」
「おまっ……何でそれを……」
「私を誰だと思っているんですか? これでも貴方のパートナーですが」
「みくびっとった……」
「丸井くんから聞いたのですが」
「少しでも感動した俺の負けか」


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