【テニプリ】Merry-Go-Round【短編集】
第2章 【千石】すべてせせらと笑ってやれ
2ヶ月後、後輩ズの結婚式が無事行われることになった。海の見えるロマンティックな式場で、8月の太陽を味方にした花嫁はなによりも輝いていた。
「2人、すっごくお似合いだったね」
「うんうん、俺らってばホントにいい仕事したな」
式が終わったあと、キヨと海に来ていた。滞りなく進行し、何事もなく終わった。ただ1つの想定外はブーケトスはトスされず、手渡しだった。
「千石さん、次は先輩が幸せになってくださいね」
「普通、こういうの女の子に渡すモンなんじゃないの?」
当然というか、高田さんは新婦の友人勢にドヤされていたけど満足そうだった。当のキヨはなんだか悩ましい表情をしていた。それが気掛かりで、疲れているところ申し訳ないけど海辺へ散歩に行きたいと、こうして連れ出したのだ。
「キヨさ、なんかあった? ブーケもらってから様子変だよ」
「いやいや! そんなことはないよ!」
「ふーん」
人気のないこの場に沈黙が流れる。こうなってくるといくら追及しても教えては心のうちはくれないだろう。話し出すのを悠長に待つしかない。