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【テニプリ】Merry-Go-Round【短編集】

第2章 【千石】すべてせせらと笑ってやれ


出社してからすぐ後輩くんと挨拶をし、持ち帰りの仕事についてやり取りをする。山代くんが手を動かす度にちらつく薬指とにやけてだらしない口元が目についてしかたがない。不快、とかではなくて。

「あれ、酒々井さん聞いてます?」
「聞いてるよ。で、何の話だっけ?」
「聞いてないじゃないですかー。まぁもう一度言いますから」

……不思議だな。運命の人と巡り合うと纏う雰囲気がこんなにも変わるもんなんだな。別に彼女の話をしていなくても、目の辺りから優しい愛が滲み出ているというか。少しだけ羨ましいかも。ホントに、少しだけ。

「……というわけです。ああ、そろそろ会議の時間になりますよね。それじゃ、頑張りましょうね」
「えっ、あ……」

し、しまった。余計な考えに気を取られ肝心な要点を聞き逃してしまった。これから進行中の企画に関する会議だっていうのに!!

「はぁ、とりあえずやれるとこまでやるか」

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