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【テニプリ】Merry-Go-Round【短編集】

第2章 【千石】すべてせせらと笑ってやれ


翌朝、「ごめん、俺昨日なんかやらかしたりしちゃった?」と聞いてきたのは昨夜の時点で想定の範囲内だった。奥歯を噛んで、「何も」と答え、コーヒーを飲み干した。喉の奥の方がじりりと焼ける。朝からブラックなんて飲まなきゃ良かったかな。

……苦い。

「ゆかり、ホントに俺何もしてない?」
「してないって」
「じゃあこっち見てよ、ゆかり」
「何で」
「そりゃ、何でもお見通しだからね。昔から何かあると目、合わせてくれなくなるもん」

苦い、苦い。

「……私のこと知ったような口きかないで」
「知ったようなも何も、よーくわかってるつもりだよ」
「わかってるつもりって10年前の私を押し付けられても困るよ」
「ふーん、そっか」

それ以上は追及せず、キヨはスマホをいじり始めた。そんな彼を見て私は1つ決心をした。山代くんと高田さんの結婚式が終わったらもうキヨと関わるのはよそう。そうじゃないと私らしくいられなくなる。ペースを乱され続ける。そんなのはもうこりごりだから。

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