【テニプリ】Merry-Go-Round【短編集】
第2章 【千石】すべてせせらと笑ってやれ
どうやらキヨはあまりお酒に強くなかったらしい。自分の分、私の分、そしてそのあとにもう1杯ビールを飲んだせいでずいぶん酔ってしまったようで私が肩を貸さなくては足元が覚束ない始末だ。
「へへ、次はバーに行こぉ!!」
「もう……お酒自分こそ強くないなら先に言ってよ。4杯目飲ませなくてよかった……。重い重い、いい加減にしてよ」
「ん~、ユカ~」
それまで多少は自分で歩いていたはずだが私の首元に顔を埋めて抱き付いてきた。歩きづらいったらありゃしない、引き剥がそうとするも意味はなく……。キヨが今どこに住んでいるのか知らないので送って行こうにもそういうわけにはいかない。仕方がないのでタクシーを呼び、うちで休ませることにした。
「ほら、着いたよ。狭いけど我慢してね」
何とかキヨをベッドまで運ぶことに成功し、シワになるといけないだろうとシャツやらなんならを脱がし、消臭殺菌スプレーをふりアイロンをかけておく。服は……着せなくてもいいだろうか、バカは風邪引かないわけだし。
寝てるのか寝てないのかよくわからない彼はそのままに、私は化粧を落とし簡単に身体の汚れを拭き取り部屋着に着替える。いくら酔ったキヨ相手でも男が家にいる状況でお風呂を入るほど私も不用心ではないから。