• テキストサイズ

【テニプリ】Merry-Go-Round【短編集】

第2章 【千石】すべてせせらと笑ってやれ


「元気元気!! もうやかましいくらいでさ」

ああ目なんて合わせて話できないや。どんどん早口に会話を流していってるせいで、自分が何を話しているのかわからない。冷静さを取り戻そうとしてるはずなのに遠ざかっていくのはどうして。

「何で俺の顔見てくんないの?」
「あ、いや……その」
「もしかして本当はカレシでもいて後ろめたさを感じてたりするわけ?」
「違っ、そんなわけ――!!」

否定したい気持ちが爪先まで走り、思わず立ち上がってしまった。幸い店内は騒がしいためあまり目立ちはしなかったが、多少周囲からの視線を受けて気恥ずかしさが増していった。

「本当に否定したい時思わず立っちゃうクセ変わらないんだ」

途端に機嫌を良くし、にへらとしたままメニューに顔を向けるこの男も存外変わらないものだ。独り身の元カノを前にしてそんなに喜ぶのか。呆れながらお冷やを口に含み、1つ大きく息を吐いた。

「今話すべきはそんな話じゃないでしょ。事務的な話はさくっと済ませて美味しくご飯食べよ」
「そうだねぇ、じゃあまずはパパッとスピーチの枠組みを決めようか」

仕事モードに切り替わった清純は相変わらず要領がよくて、ほぼ完成まで漕ぎ着けることができた。こんなにアッサリできてしまうものかと驚いたが、お陰様で今晩の夕飯は大変美味しくいただけた。


/ 30ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp