第1章 日常篇。
②
「あのさ…服着替えてる途中に入ってこないでくれる?」
「別に減るもんはねぇだろ。」
ふぅ、とベランダで煙草の煙を吐く。この男はどれだけ無神経なのだろう。
「そーいや、御前知ってたか?胸ってもむとでかくなるらしいぞ。」
「!?ちょ、とうとう頭いかれた!?」
相手のほうへ振り向く。そして抗議しようとする-
「おい、何やってんだテメー。」
後ろからもう一人十四郎が現れた。
「え、?あれ、何で…」
困惑していると先ほどまで話していたほうは罰の悪そうな顔をしていった。
「ちっ、ばれたか。残念。」
そういってマスクと鬘を取る。
「あ、ヅラ!!」
「ヅラじゃない、桂だ!」
其れは従兄弟の桂小太郎だった。
「てめぇ、雪乃にセクハラしようとしてただろ。」
十四郎が眉間に皺を寄せながら言う。
「其れが何か?問題があったのか?」
「大有りじゃボケェっ!!」
十四郎は桂に蹴りを入れた。効果は抜群だ。
「うぐぅっ、じょ、冗談だ。だからそんなに怒るな!!」
「うるせぇ、黙れ。之から御前は処刑の時間だ。」
そういって悪い笑みを浮かべる。するといつの間にか帰っていた銀時、晋助、神威、総悟の4人も同じような笑みを浮かべていた。
「え、ちょっと、待、…ぎゃァァァァァァァァァァ!!」
桂の悲鳴が響き渡ったのは、言うまでも無い。
夜7:00-
夕食を食べ終わり6人でテレビ観賞。(ちなみにヅラは召され…帰りました。)
見ているものは神威が借りてきたホラー映画である。
「っ…みんな怖くないの?」
「「「全然。」」」
と答えたのが総悟、晋助、神威。
「「べ、べつにぃ?」」
と青白い顔で答えたのが十四郎と銀時である。
場面は切り替わり、女が物音に気付いてリビングへと向かうところだった。リビングへ向かうと其処には血まみれの男が居た。
「っ~~~~!!」
声も出せずに震えていると総悟が
「大丈夫ですかぃ?」
と声をかけてくれた。だがしかし、其の後のシーンは其の女が男に殺されかけるという一番怖いシーンだったのである。
「もー、無理…怖いよ…!!」
そういって耳を塞いでいると唐突に電気がついた。
「お、おい、そろそろやめようぜ?」
付けたのは銀時と十四郎である。
結局、一番ビビッて居たのはこの大人二人であった。