第2章 旅行篇。
⑤。
「…出てこねぇな。赤い着物の女。」
「そうだね…びびったかな。」
雪乃と銀時はそんな会話をしながら兄弟達を待っていた。指示してから早10分、まだ女は出てこない。
そうしていると、十四郎達が
「武器…になるかどうかわからねぇけど。」
と手にお玉やらフライパンやら調理器具を持っていた。
「それでいいだろ。」
と銀時はフライパンを手にした。
晋助はお盆を、十四郎は片手鍋を、総悟は鞭を…
「って、御前持ってたのかよ。」
「持ってるに決まってるでしょう、拷問用に。」
総悟はさらり、と言い放った。
「あれ、神威兄さんは持たないの?」
と、何も持っていない神威に雪乃が聞くと
「俺、素手でも戦えるから。」
と、笑顔で言った。そして、雪乃は余っていたお玉を手に取り、しばし見つめた後、
「てやっ!」
と、ポーズをとってみた。其れを見た兄弟たちは全員、
(((((可愛すぎるだろ…!!!)))))
と硬直したのであった。
「じゃぁ、入るぞ。な、何があっても逃げないこと!]
「一番最初に銀時が逃げそうだけどな。ま、俺は大丈夫だけどー。」
「そういう十四郎こそ。顔が引き攣ってるぞ。俺は平気だけど。」
「「「「煩いし、大人2人。」」」」
口論を始めた大人二人の背中を学生ズは蹴り飛ばし、強制的に部屋へと入れた。
部屋の中には、やけに蚊がいた。
「…前から思ってたけど蚊、この時期にしては多いよネ…」
神威が呟く。兄弟達も覚えがあるのか頷く。
すると、銀時がふいに上を向きフライパンを天井に叩きつけた。
「銀時兄さん!?どうしたの!?」
雪乃が振り向き叫ぶと同時に何かが落ちてくる。
それは、赤い着物の女だった。
だが、それにしては奇妙な違和感がある。
「赤い着物の…女か?此れ。」
女にしては背が高いうえに何より胸が無い。
「てか、こいつ…桂じゃねぇか。」
「何故ばれたんだ…此れで確実だと思ったのに!!」
「「「「「「普通にばれるわこのストーカー!!」」」」」」